ラベル 10.ばらの騎士 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 10.ばらの騎士 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年6月1日木曜日

《ばらの騎士》上映時間確定のご案内

6月10日(土)より公開のR・シュトラウス《ばらの騎士》の上映時間が約4時間24分(休憩2回)に確定いたしました。

詳しいタイムスケジュールはこちらです↓




何ごとにも『時』がある―ルネ・フレミング、エリーナ・ガランチャ最後の舞台!《ばらの騎士》みどころ

広瀬大介(音楽評論家)

この十数年来、「無人島に何を持っていきますか」という問いへの答えは、《ばらの騎士》の楽譜、と決めている。19世紀から20世紀にかけ、激動の時代を85年に渡って生き抜いたリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)の最高傑作。それまでのオペラの歴史が培ってきた、あらゆる手法の集大成であり、20年以上この楽譜に付き合ってなお、新たな発見には事欠かない、汲めども尽きぬ泉のような音楽である。


 台本作家、フーゴー・フォン・ホフマンスタール(1874-1929)が舞台に設定したのは、華やかなりし18世紀のハプスブルク帝国。この作品の中でひときわ豊かな光彩を放っている元帥夫人マリー・テレーズは、夫・陸軍元帥の居ぬ間に、17歳の貴族の愛人、オクタヴィアンと情事に耽る。が、若い男と違い、女はそれが最初の恋でも、最後の恋でもないことを知っている。いたずらに時を重ね、自分は若さを失い、老いて行く。「何ごとにも、それを為す『時』というものがある」「ときどき自分は家中の時計を止めたくなる」と歌う元帥夫人。世の中に永遠不変のものなどない、という諦観と、その事実に心を引き裂かれて苦悶する気高い姿が、深いメッセージ性をもって、われわれの心に訴えかける。長く伝えられる名作には、ひとの精神的な成熟を促す力があるのだろう。

 田舎からやってきたオックス男爵の婚礼を仲立ちするため、オクタヴィアンは婚約の証としての「銀のばら」を届ける使者(この習慣自体は史実ではなく創作)として、ファニナル家の娘、ゾフィーのもとを訪れる。オックスの傍若無人な振る舞いにゾフィーは愛想を尽かし、オクタヴィアンは一芝居打ってオックスとゾフィーの婚約を破談へと持ち込む。そして、元帥夫人は若い二人の新しい門出を、自らが身を引くことで祝福する。重要な場面にちりばめられた恋人のひたむきな二重唱、オックスの小粋なワルツ、そして若い二人と元帥夫人がそれぞれの想いを吐露する三重唱、いずれをとっても、聴くものの胸を打たずにはおかない。


 ロバート・カーセンの演出では、同じハプスブルク帝国でも、18世紀ではなく、20世紀初頭、さしものハプスブルク帝国が滅びようとする第1次世界大戦前夜に 舞台が移される。第1幕は喪われゆく伝統、第2幕は武器売買で儲けた新興貴族の現代建築、第3幕は爛熟した世紀末、これらが作品に内包される『時』の移り変わりを見事に視覚化する。
長年この役を演じ、絶大な人気を誇るルネ・フレミング(元帥夫人)と、颯爽たるズボン役(女性が演じる男性)の第一人者エリーナ・ガランチャ(オクタヴィアン)のふたりは、この上演をもって同役から離れることを明言しており、上演史的にも貴重な舞台 。二人が、長年積み重ねてきた役への深い理解が演技の端々からこぼれ落ちるさまは説得力に富み、その毅然とした立ち居振る舞いには、METを埋め尽くした聴き手も喝采と涙を惜しまない。

好色というイメージで演じられてきたオックスに、ギュンター・グロイスベックは若々しく、精力的で、時代の流れに振り回される男、という新たな解釈 の可能性を与えた。ワーグナーやシュトラウスに精通したゼバスティアン・ヴァイグレは、METという空間にウィーンの『時』を現出させる。筆者自身も、無人島に持っていく想い出がまたひとつ増え、心が躍る。



(C)Ken Howard/Metropolitan Opera

2017年5月31日水曜日

《ばらの騎士》ニューヨーク現地評のご紹介



エリーナ・ガランチャの歌声はまさに、温かみのある黄金の歌声で恋に浮かれた多感な17歳の青年オクタヴィアンそのものだった。燃えるように激しく、時に陽気に、輝くように青年を歌い上げた。
—Washington Post


絶対に見逃せない『ばらの騎士』。ルネ・フレミングは未踏の高みに到達した。現代トップのソプラノ、フレミングが持ち役にしている元帥夫人役はオペラ界の中でも最も心を動かす役。その役を演じる彼女を観られる最後のチャンス。
—Huffington Post






フレミングは、気品に溢れた素晴らしい演唱に誇りを持つべきだろう。彼女にとって、そしてオペラ界にとって歴史に残るこの公演で、華麗な歌声を響き渡らせた。ガランチャのベルベットのような艶があり官能的な声は、オクタヴィアンに理想的だ。二度とお目にかかれない極上の公演。
甘い声のエリン・モーリーが演じたゾフィーは、とても愛らしかった。ギュンター・グロイスベックのがっしりとした歌唱と派手なジェスチャーの演技は、まさにオックス男爵役にふさわしい。指揮者のセバスティアン・ヴァイグレは気高い演奏をMETオケから引き出した。
—New York Times


フレミングは変わることがない美しさで、とらえがたい繊細な演技を披露し、深い愛情を描き出した。ガランチャの歌声は、若者らしい温かみで香り立つような響きに満ちていた。夢のような時が流れる
—Wall Street Journal


2017年5月29日月曜日

R・シュトラウス《ばらの騎士》視聴

第10作 R・シュトラウス《ばらの騎士》 新演出     ※4/18更新

上映期間:2017年6月10日(土)~6月16日(金)
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ 演出:ロバート・カーセン
出演:ルネ・フレミング(元師夫人)、エリーナ・ガランチャ(オクタヴィアン)、エリン・モーリー(ゾフィー)、ギュンター・グロイスベック(オックス男爵)、マシュー・ポレンザーニ(歌手)
MET上演日 2017年5月13日 上映時間:4時間24分(休憩2回)


第3幕<三重唱> ルネ・フレミング エリーナ・ガランチャ エリン・モーリー(リハーサルより)

第2幕<ばらの献呈> エリーナ・ガランチャ エリン・モーリー(リハーサルより)

第3幕<二重唱> エリーナ・ガランチャ エリン・モーリー(リハーサルより)

2017年5月28日日曜日

オペラ歌手・森谷真理さん登壇!《ばらの騎士》トーク付き上映会開催!

オペラ歌手・森谷真理さんによる

『ばらの騎士』トーク付き上映会!!


(C) Kristian Schuller/Metropolitan Opera
METライブビューイング2016-17のフィナーレを飾るのは、元帥夫人と年下の美青年との切ない恋を描いた、R・シュトラウスの最高傑作《ばらの騎士》。
元帥夫人に麗しきMETの名花ルネ・フレミング、彼女と熱い恋を燃え上がらせる年下の美青年に花形メゾ エリーナ・ガランチャと、最高の顔合わせが揃いました!

そして、今回は『ばらの騎士』の公開を記念し…

NY・メトロポリタン歌劇場(MET)にて《魔笛》夜の女王役で出演し、大成功を収めたオペラ歌手・森谷真理さんのトーク付き上映会を開催致します☆

7月には今回のMET公演と同じS・ヴァイグレが指揮する二期会《ばらの騎士》公演にて、元帥夫人役で出演が決定している森谷さん。日本人女性歌手としてMETの大舞台で大役を務める貴重な経験をされている森谷さんに、《ばらの騎士》の魅力や現地METに出演された際のお話などを存分に語っていただきます!


★☆★イベントの詳細はこちら↓です★☆★


森谷真理さん (C)武藤章

◆日時:2017612日(
  18:00~   
(R・シュトラウス《ばらの騎士》上映前)
※終了予定時刻は22:50頃を予定しております。

◆場所:東劇  Tel:03-3541-2711
  東京都中央区築地4-1-1 東劇ビル3F

◆登壇者:
 オペラ歌手 森谷真理さん 
 音楽ジャーナリスト・評論家 
        林田直樹さん

◆料金:一般 3,600円(税込)
     学生 2,500(税込)
※全席指定制となります。
※お得な特別鑑賞券3枚セット、リピーター割引もご利用いただけます。
※特別興行につき、各種招待券、各種福利厚生券、株主招待券、割引クーポンはご利用いただけません。

【森谷真理さんプロフィール】
蔵野音楽大学声楽科卒業、同大学院声楽専攻主席卒業後、渡米しマネス音楽院プロフェッショナルコース修了。オーストリア・ウィーン在住。2006年、NYのメトロポリタン歌劇場(MET)の舞台を踏む。ジェイムズ・レヴァイン指揮、ジュリー・テイモア演出《魔笛》夜の女王役で出演し大成功を収めた。2017年7月には東京二期会公演《ばらの騎士》に元帥夫人役で出演予定。二期会会員。

●二期会《ばらの騎士》公演の詳細はこちら
http://www.nikikai.net/lineup/rosen2017/