池原 麻里子(ジャーナリスト)
ドニゼッティの《マリア・ストゥアルダ》(1834年作)がやっとMETで初演された。同作品はチューダー王朝3部作の1つで、先シーズン開幕にアンナ・ネトレプコが見事にタイトル役を演じた《アンナ・ボレーナ》に次いで2作目となる。
歴史上、実在し敵対していたイングランド女王のエリザベス1世(エリザベッタ)とスコットランド女王のメアリー・スチュアート(マリア・ストゥアルダ)の架空の直接対決を劇化したのは、ドイツの文豪シラー。それを台本にドニゼッティはロマンティックな曲作りで、マリアの殉死と犠牲を見事に描いている。