1.メトロポリタン歌劇場【MET】の印象
タクシーから下車しリンカーンセンター前に降り立った時、目の前に見えるMETの姿に感動しました。夕暮れ前のMETも凛として美しい姿でしたが、夕闇が迫る頃正面のシャンデリアが灯ると、METは一層華やぎを増してとても優美に見えました。「この歌劇場で今晩オペラをみる」と思うと何ともいえない誇らしげな気持ちになり、ワクワクが胸一杯に込み上げてきました。METの中に一歩中に足を踏み入れると、そこはまさに夢のような世界。思い思いに装った品の良い紳士淑女と、キラキラと輝くシャンデリアが見事に調和して、なんとも高揚した気持ちにさせてくれました。グラスシャンパーニュを片手に談笑するもよし、館内の美術品ともいえる数々の展示品に目を奪われるもよし、開演前の時間もとても有意義に過ごすことができました。
2.バックステージツアー
本当に参加させて頂けて心の底から良かった、と思います。いつもライブビューイングで見ている世界に自分がいると思うと、本当に夢のようでした。トップスターたちが使用するDressing Room(楽屋)の中も見ることができ、ライブビューイングでは、いつもここでインタビューをしている!と感動しました。また想像を超える舞台装置の裏側や、外からは想像できないような歌劇場内部の各種工房(大道具・小道具・衣装・
カツラに至るまで歌劇場内部で作っているのです!)も間近に見ることが出来て、本当に驚きました。本場のMETでオペラを見れただけでも感涙ものでしたが、バックステージを合わせて拝見させて頂けたことで感動が2倍・3倍にもなりました!ちなみに、見学当日は公開間近の《ジュリアス・シーザー》のリハーサル関係の小道具・大道具・衣装等を目の前で見ることができました。
3.《椿姫》の感想
P・ドミンゴさんは若かりし頃に歌ったアルフレード役(テノール)ではなく、父ジェルモン役(バリトン)での出演でした。第2幕のヴィオレッタ(ソプラノ)との二重奏と演技は説得力もあり、まだオペラファンになって間もない私にとっては、生のドミンゴさんの歌唱を聞けただけでも感動でした。D・ダムラウさんも初ヴィオレッタとのことでしたが、今期もう一つの出演作である《リゴレット》のジルダとはまた違った迫力がありました。歌は素晴らしかったです。デッカー演出の椿姫は一度生で見てみたかったので、とても満足でした。
4.《オテロ》の感想
前日の現代的でミニマムな空間で演じられた《椿姫》とは異なり、正統派でクラシカルかつ迫力のある演出でこちらも満足度の高い演目でした。クーラさんも一度見てみたかったテノールだったので、とても自信に満ち溢れた歌と演技で見事でした。第一幕冒頭の「歓べ!」もよく声が出ていて、素晴らしかったです。また個人的には、「オテロ」はやっぱりイアーゴ(バリトン)があってこそ引き立つものと思っています。今作イアーゴDebutのMarco Vratognaも本当にイキイキしていました。第一幕「乾杯の歌」、第二幕「クレド」ともにハリのある素晴らしい声を聞かせてくれました。今後注目したいと思いました。ストヤノヴァの「柳の歌」「アヴェマリア」もぐっと来ました。