2017年1月19日木曜日

《遥かなる愛》ニューヨーク現地評のご紹介

 何よりも、この胸に染み入る作品の上演がようやくニューヨークで実現したことに大きな意味がある。METでの出演作の中でも今作が当たり役になったバスバリトンのエリック・オーウェンズは、胸が痛むほど儚げなジョフレを創り上げた。メゾソプラノのタマラ・マムフォードは、まろやかな歌唱と毅然とした演技で、巡礼の旅人を描き出した。ソプラノのスザンナ・フィリップス演じるクレマンスは出で立ちも歌唱も光り輝いていた。心に響く指揮をするマルッキ氏を迎えることができて、本公演はなんと幸運であろう。
―ニューヨーク・タイムズ


 スザンナ・フィリップス、タマラ・マムフォード、エリック・オーウェンズというアメリカの最高の歌手陣による演唱で、オペラに魅惑される一夜 となった。
―ハフィントン・ポスト
 今回の公演で最も目を見張ったのは---実際私が今まで観てきたオペラの中で最も息を呑む舞台展開だと言えるが---、ルパージュの描いた大海原の荒れ狂う嵐の場面だ。サーリアホが作曲した、激しくうねる金管のファンファーレにピタリと重なる光景だった。
―ニューヨーク・オブザーバー



 ロベール・ルパージュによって鮮やかに描き出された圧巻の舞台は、幻想的な雰囲気を作り出すだけでなく、演劇としてより深く掘り下げたものであり、画期的な公演である。
―ウォール・ストリート・ジャーナル

 彩り豊かで美しい作品。カイヤ・サーリアホは途絶えることなく青光りする音の海で、海流や打ち寄せる波、水しぶきを生み出した。指揮のスザンナ・マルッキは、海神ポセイドンのような力強さで、音楽のうねりと逆巻く流れを呼び起こした。彼女は本領を発揮し、驚異の逸材であることをまざまざと見せつけたのである。
―ニューヨーク・マガジン


©Ken Howard/Metropolitan Opera