2012年10月22日月曜日

フィリップ・グラス氏、高松宮殿下記念世界文化賞の会見レポート

本日、第24回高松宮殿下記念世界文化賞の受賞者会見が行われました。
音楽部門を受賞されたフィリップ・グラス氏は昨年のライブビューイング作品《サティアグラハ》の作曲家です。

グラス氏のコメントの一部をご紹介いたします。

Q.日本からの影響について
「15、6才の頃、ボルティモアの美術館で北斎の作品を観て、その絵からインスピレーションを受けた。ドナルド・キーンさんの翻訳で、源氏物語や三島由紀夫、川端康成の文学、松尾芭蕉などに影響を受けてきた」

Q.氏の音楽について
「長年音楽とは何かを考えてきて、ある時は音楽は幅の広い表現言語であると思った。だがそれからまた時が経つにつれ、音楽はある場所だと考えるに至った。それは実在する場所で、芸術家はそこに生きることができる。片足ずつを音楽の世界と、現実の世界に置くことができるのだ。時間と関係のない音楽だけの世界で、永遠に近い場所である」

Q.音楽の未来について
「今のニューヨークは問題が多く、1950年代のアメリカに近い。混迷した時代には芸術がさかんになってくるもので、迷う時に精神が目覚める。現在の20代の若者達は私とは考え方が違うが、それは良いことで、新しく世界が開かれるのではないかと思っている。私が学んできたこと、私のDNAが私の音楽を作らせる。人間が進化するためには、迷いや葛藤があり、苦しみがあってこそ価値のあるものになると思う」

予定時間を過ぎても質問は尽きず、音楽に対する真摯な態度に感動さえ覚える会見でした。
グラス氏はこれからも新作オペラを続々と発表予定で、またライブビューイングで上映できること機会があるかもしれません。

尚、先シーズンに上映しました《サティアグラハ》は、WOWOWにて放映予定です。時期は未定ですが、引き続きWOWOWの公式HPでご確認ください。