2016年3月23日水曜日

《マノン・レスコー》ニューヨーク現地評のご紹介


マノンを演じたソプラノ クリスティーヌ・オポライスは、その美貌さながらの魅惑的な歌声を披露した。指揮のファビオ・ルイージは本公演でも絶好調だった。見事なMETオケから、柔らかく包み込まれるような、きめ細かい演奏を巧みに引き出し、プッチーニの迸る音楽を生き生きとしたメリハリをつけ、細部にわたって明快に指揮した。
―New York Times


オポライスは、微妙な心の動きも表現する緻密な歌唱と魅惑のセックスアピールでマノンを演じた。起伏の激しい物語のなかで、彼女のソプラノの歌声も、甘美な響きから、一瞬にして、淫らで官能的な誘惑の響きへ変化する。第4幕の絶命する場面で歌う〈ひとり寂しく〉で見せたむき出しの鬼気迫る演唱には魅了された。ファビオ・ルイージの指揮は、プッチーニの熱情ほとばしる旋律を、細部まで繊細に入念に描くという、絶妙なコンビネーションで聴かせてくれた。
―Wall Street Journal 


アラーニャは、臆することなく激しい演唱を披露し、快活な歌声を響かせた。オポライスは、官能的でありつつ、はかなく、そして、役にふさわしい人を惹きつける魅力と哀れを誘う切なさを持ち合わせた悲劇のヒロインを演じてのけた。ファビオ・ルイージはオーケストラピットで、絶妙に情熱と詩情のバランスがとれた音楽を指揮した。
―Financial Times


ファビオ・ルイージは、一貫して揺るぎないビジョンを持って、オーケストラを指揮していた。きらびやかなオープニングの入念で印象深い扱いや、続く弦楽器のブリッジ近くの弓使いで生み出す恐ろしげな身震いの引き出し方など、彼の指揮は今までに無い、次なる次元に到達した。オーケストラに関していえば、今まで聞いた《マノン・レスコー》の中で最も考え抜かれ、見事にそれが実現された演奏だった。
WQXR



写真(C)Ken Howard/Metropolitan Opera