2016年5月9日月曜日

《ロベルト・デヴェリュー》ニューヨーク現地評のご紹介

 

 ソプラノのソンドラ・ラドヴァノフスキーに熱狂的な拍手喝采とブラボーの声が注がれた。感情をさらけだした大胆不敵な演唱で、極めて重要なアーティストがそのキャリアに偉大な金字塔を打ち立てた瞬間を観客たちは目撃したことを実感しているようだった。燃えるようなパワー、硬質な高音、鋭敏なコロラトゥーラのパッセージワークで、ラドヴァノフスキーは歌い上げる。METはまさに理想的なキャストと洞察力に富んだ指揮者 マウリツィオ・ベニーニを集結させた。最高のテノール マシュー・ポレンザーニの題名役は大変素晴らしく、彼の軽やかで気品ある歌声は青春の情熱を表現するのにぴったりだ。バリトンのマリウシュ・クヴィエチェンは雄々しい歌声と感情高まる歌唱で、親友の裏切りによって打ちのめされる公爵の戸惑いを巧みに表現した。そして、実に豪華なキャスティングなのは、偉大なメゾソプラノ エリーナ・ガランチャが、壮麗な歌声とカリスマ的な歌唱で、恋に苦しむ内気なサラ役を演じたこととだThe New York Times

 
 
 マウリツィオ・ベニーニのボルテージの高い指揮に触発されたエネルギッシュなキャスト陣は、その死すべき運命があたかも冒険であり、人生の痛みとはあまりにも心地よい音楽のための価値ある代償なのだと思わせてくれる。マシュー・ポレンザーニは、その蜜のように光沢があり、ばねのようにしなやかなテノールの歌声、柔軟なフレージングと自信に満ちたピアニッシモで、死を前にした男の黙想を歓喜に溢れた陶酔の旅立ちへと変貌させる。きらびやかな魅惑の世界を欲するオペラの観客たちに、演出家のデイヴィッド・マクヴィカーは決して出し惜しみはしない。エリーナ・ガランチャは、やや内気なノッティンガム公爵夫人のサラをうっとりするほど美しく演じ、その自己憐憫に陥っている姿でさえ、観客を惹きつけてしまう。ソンドラ・ラドヴァノフスキーは、実際のエリザベス1世には許されなかった全ての荒れ狂う自由な感情を見事な歌声で表現し、無慈悲で後悔の念に苛まれる様でさえ、壮麗な場面にする。彼女のソプラノは、まるでビロードのように滑らかであり、鋼のように強靭で、歌唱の難易度が高くなるほど絶対に揺るがない女王の厳格な姿をみせつけたNew York Magazine


 デイヴィッド・マクヴィカーは、まさに理想的な演出家だ。わざとらしく雰囲気を作りこんでいるわけではなく、その作品にふさわしい、洗練された黒と黄金の舞台セットで、歌声の火花が散る中、シェイクスピア劇のような壮大なドラマを描ききった。ガランチャは強靭なコロラトゥーラで女王のライバルである公爵夫人という役に充分な奥行を与えた。マシュー・ポレンザーニの見せ場である第3幕のロンドン塔でのシーンは、なんとも感動的で色鮮やかな最後が深く印象に残り、歌い終わる前から“ブラボー”と歓声が聞こえてきそうなほどだ。
WQXR

 マウリツィオ・ベニーニの華麗な指揮は、見事なMETオケとMET合唱団を率いて、オーケストラピットと舞台との間に素晴らしい調和をもたらし、まさに音楽の喜びに溢れた《ロベルト・デヴェリュー》を創り上げた。ラドヴァノフスキーのパワフルな歌声は、サザーランド以来聴いたことがないような感極まる緊迫状態にまで達したかと思うと、いとも簡単に静かなピアニッシモまで声を落とす瞬間は息を呑む。彼女は、愛の苦しみを非常に繊細なフレージングで表現し、嫉妬に満ちた怒りを観客が身震いするような情熱で歌い上げた。Huffington Post

写真(C)Ken Howard/Metropolitan Opera