今回、METが新演出で贈るヴェルディ《リゴレット》の舞台は、16世紀北イタリアのマントヴァから、400年の時代を移し、1960年代のネオンきらめくラスベガスへ―――。
1960年代のラスベガスでは、カジノやホテル、華やかなショーを仕切りるマフィアが街を支配していました。そんな街でカリスマ的存在だったのが、フランク・シナトラ率いる"THE RAT PACK(ラット・パック)"というグループです。フランク・シナトラをリーダーに、俳優のディーン・マーティン、ピーター・ローフォード、エンターテイナーのサミー・デイヴィス・Jr.などを中心メンバーとして、ラスベガスやハリウッドでショーの公演を行い、公私ともにやんちゃで派手な振る舞いで幅を利かせていました。「オーシャンと11人の仲間たち」(映画「オーシャンズ11」のオリジナル作品)といった映画にも多数出演。マフィアや政治家などとのコネクションも噂され・・・、望むものが全て手に入るような時代の寵児だったのです。演出家のメイヤーは、今回の演出で、マントヴァ公爵を、このシナトラのようなカリスマ的なスターという設定にし、新しい《リゴレット》の世界を創り上げました。