2013年12月28日土曜日

歌舞伎座 新開場記念プレミア上映《ファルスタッフ》レポート

12月26日(木)、歌舞伎座 新開場記念プレミア上映《ファルスタッフ》が、満員御礼の大盛況のなか開催されました。

夜闇に美しく浮かび上がるライトアップされた歌舞伎座の前には、18時の開場前から期待に満ちた観客の皆様の長蛇の列が出来ました。開場の時間となると、皆様、ワクワクした様子で、華やかな歌舞伎座のロビーに足を踏み入れ、思い思いに新しい歌舞伎座の場内をご覧になっていました。


歌舞伎座の檜舞台には大きなスクリーンを設置。最新の映写機材と音響機材を配置し、幕開けの準備は万全。いよいよ、上映が始まります!

冒頭、METのピーター・ゲルブ総裁から届けられた、歌舞伎座でご覧のお客様への“スペシャル・ビデオメッセージ”が上映されました。「グランドオペラのように壮麗な歌舞伎が上演される、歌舞伎座という名劇場での上映は、歌手たちにとっても格別な歓びです。輝かしい伝統をもち、多くのファンに支えられるオペラと歌舞伎という姉妹芸術で、満たされた新年を!」と、日本語も交えての心のこもったメッセージに客席からも拍手が起こりました。

《ファルスタッフ》が開幕すると、豪華なやセットや衣装、R・カーセンのウィットに富んだ見事な新演出、題名役のA・マエストリをはじめキャスト陣の絶妙な演唱、そして2年ぶりに復帰したJ・レヴァインの作品への情熱と愛情に満ちた完璧な指揮とが三位一体となり、現地METの会場同様に、歌舞伎座という劇場空間が笑い声と拍手で包まれました。

50年以上にわたり、悲劇を書き続けたヴェルディが80歳(!)にして作曲したのが、オペラ史上最も洗練された究極の喜劇といわれる本作。最後に笑う者こそ、本当に笑う者だ〉というフィナーレのフーガのフレーズそのままに、巨匠が辿り着いた達観した人生観が表れます。まさに、2013年のヴェルディ・イヤーを締めくくるに相応しい、人間賛歌の極上の舞台です。

実際に、終映後、劇場をあとにする観客の皆様の笑顔が本当に幸せそうだったのが印象的でした。

和の伝統を誇る歌舞伎座が、まさに”オペラハウス”となった一夜でした。
ご来場くださいました皆様、誠にありがとうございました。